「この仏壇と同じものを、これからもう一度作ることはできません」――大げさに聞こえるかもしれませんが、事実です。
今日ご案内するのは、厨子型の中古仏壇 1383番(金剛製)。黒檀の突板と無垢の彫り、厨子の内部は金箔で総貼り。扉はリモコンで静かに開きます。ただ「珍しい仏壇が入荷しました」というお話ではありません。この一台が最後になるかもしれない、その理由をお伝えします。
▲ ハイライト版(実際の扉の動き・内部の金箔をご覧いただけます)
日本から「黒檀を薄く挽く」仕事が、消えました
黒檀は、インドネシアなどの地で三百年という単位をかけて育った木です。昔は丸太で日本に入ってきました。時代の変遷とともに、板で輸入されるようになりました。
そして今年、その板をさらに薄く「突板」に加工する会社が、日本で廃業したと聞いております。黒檀は硬い木です。硬い木を紙のように薄く挽くには、専用の設備と職人の腕が要ります。その仕事を引き受けるところが、国内からなくなったということです。
つまり、黒檀の突板を使った仏壇は、これから仏壇業界から静かに消えていきます。私自身、「虚空厨子を黒檀で作りたい」というお客様のご要望に、今はお応えできない状態です。残念でなりません。
金箔も、彫刻も。「今から同じものは」生まれない
扉を開けると、厨子の内部は金箔で総貼り。しかも外側に開いてくる扉の、その内側まで金箔で覆われています。金は世界中に流通していますが、値上がりが続き、同じ仕様で新しく作ることは、金額の面から難しくなりました。
黒檀は「お金を積んでも手に入りにくい」。金は「金額そのものが壁になる」。方向は違いますが、行き着く結論は同じです。
加えて、この彫刻です。金剛さんが伝統ある様式に則って作った厨子型で、材質にかける思いを私も承知しております。こうした彫りを施した仏壇が新しく作られる時代では、もうなくなってきました。モデルとしても非常に限定されたものです。この段階で、最終になると思われます。
この仏壇でこそ題目が上がる、という方へ
売り込みは一切いたしません。私は、この一台を「珍しいから」という理由だけでお譲りしたいとは思っていないのです。
このお仏壇でこそ、お題目が上がる。魂をかけて、ここで唱え抜くのだ――その大いなる決意と情熱をお持ちの方に、お届けしたい。そのように思っております。
中古仏壇ですので、状態は包み隠さずすべてお見せします。寸法・価格・状態のすべては、下記の商品ページでご確認ください。動画で分からないところがあれば、遠慮なくお問い合わせください。
仏壇業界の「今」を、お伝えし続けます
材料が消えていく。加工する人がいなくなる。作れるメーカーが減っていく。これは寂しい話ですが、目を背けても現実は変わりません。だからこそ、業界の情報をありのままにお伝えしていくことが、専門店の仕事だと思っております。
「こういう仏壇が欲しかったんだ」という方にとって、今回がラストチャンスになる可能性があります。目の前にあるこの一台は、それだけ貴重なお仏壇です。
何が何でもこの仏壇で、という方。ぜひ、ご検討ください。